写真・映像制作者 水谷充の私的視線

〜「見てきたもの」記録装置 カメラがくれた宝物 〜
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漁師、最強!
 

 農業、漁業、林業など一次産業を扱ったフォトドキュメントの取材も、最終局面を迎えた。梅雨が明け、悪天候で先送りになっていた銚子のはえ縄漁の取材もなんとか終えることができた。

 

 銚子と言えば、完全な外海。しかもここは利根川の河口がある為に、潮の流れと、海に流れ出る川とで、複雑な海流が見られる場所でもある。銚子市街地から犬吠埼方面に向かって、かなり広い範囲を占める銚子漁港は、テトラポットが積み上げられた物々しい防波堤が幾重にも作られていて、独特な風景を見せてくれる。
「波、ヤバそうだなぁ〜」との覚悟は、みごと現実のものとなって僕の身に襲いかかる。

 ちょっと写真が小さくてわかりにくいかも知れないけれど、幾重にも重なるように四方から襲いかかる波のうねりは、信じられないアクションを舟に要求する。
遠くを見るようにしながら、必死に身体のバランスを取る。当然、写真を撮りに来たのだから撮らなきゃいけない。
やっぱり! 港を離れ15分もすると、もうすでに胃液が上がってくる感覚。あぁ〜
「いつもこんな波の中で仕事してるんですか!?」 漁師さんに問うと、「今日は、素人には最大級の波だよ。オレだって油断したら船酔いするくらいだ」と。。オイオイ

 

 はえ縄漁は、一人で操舵しながら、ブイにくくりつけられた80本ほど針の付いた長い仕掛けを、数ポイントに置いていく。時々仕掛けに使う餌を釣り、今度は仕掛けの回収に回る。成果を見ながら、また仕掛けに動く。
早朝4時のまだ暗い時間に始まる操業は、日の出を迎え、今度は暑さとの戦いも待っている。

 

 おぉ〜綺麗だ。
とか、言いたいところだけど、もう吐くものもないくらい吐き。ぐにょぐにょとよじれる内蔵や脳みそと戦いながらのシャッターなんです。
水平線を水平に撮ることが、こんなにも大変だなんて〜。こんな条件下では、デジカメのハイテク装備もまったく役立たない。気合い一発、いや数発。撮ったらカメラを降ろして、またゲロゲロです(笑)。

 湾内と違って、対岸なんてもんが見えない外海は、ただただ、コールタールの様な深いうねりが迫ってくるのみだ。底知れぬ恐怖感があるのだけれど、それも悶絶する胃の状態がすべて消し去ってくれる。五十肩の激痛も、いつの間にか消え去り、揺れで持って行かれそうになる身体を必死に支えている。
人間って凄いね。持ち合わせてるウイークポイントを上回る問題が生じると、それを消し去って、その新たな問題に対処しようとするんだね。悶絶する胃は、五十肩を完璧に上回っていたようだ。



 スズキが上がった。
白身魚大好き人間の僕は、魚の形のままで見ても「美味そう〜」とワクワクする。しかし、胃は悶絶。
しかし、船酔いって、酒酔いとはかなり違うんだね。内臓に反して頭は妙に冴えるんだよ、不思議。あ〜もう時間の感覚もなくなってきた。
でも、新たな動きがあるとシャッターを切る。そしてまたゲロゲロ。これはなんの試練なんだ〜と、心の隅でつぶやきながら、港に戻ってきたのは11時30分。
ん? 7時間半も、あの状態で海の上にいたんだぁ〜! もう!

 自分の過去、49年と8ヶ月を振り返っても、ダントツ一位の壮絶体験だった。僕はやっぱり陸の人だと再認識。フィジーだのモルジブだけが海じゃないね。荒れた海に小型の漁船を出し、潮を被ってねちょねちょになりつつ食い物をゲットする。誤解を恐れずあえて言えば、漁師は最強の生き物なんじゃないかと思う。
永田町だの霞ヶ関だので取り乱す馬鹿どもに、体験させてあげたいよ、ホントに。

 まだね、眠ろうと横になると、頭の中が揺れてるんだよね。悶絶する胃は、陸に上がったらケロッと治った。神秘だね、人間の身体は。僕は、まだまだ生きるための様々な防衛システムがきっちりと作動するようだ。
写真も、ちゃんと撮れてるよ〜エライエライ♪ もう漁船は、懲り懲りかも(汗)。

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