写真・映像制作人 水谷充の私的視線

〜「見てきたもの」記録装置 カメラがくれた宝物 〜
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撮影者晩年への終活

                      1983年 沖縄

 

 このところ時間を見つけては、昔撮った写真のデジタル化を進めている。「なんか大きな病気でも?」と心配してくれる人もいて、僕としては苦笑い。そういったことではなく、あくまでも見てもらいたいということなんです。

 

 時代の流れは、特にテクノロジーの面で急激です。僕の世代は、フィルムからデジタルへの変化の直撃を受けている。積極的に移行した人、戸惑いながら移行した人、かたくなにフイルムでやっている人、様々いるなかで僕自身はどうであったんだろう。いろいろと過去を回想すると、けっして積極的デジタル移行派ではなかったように思います。

広告や出版といった印刷媒体を中心に仕事をしていると、そうした変化と無縁でいられるはずもない。印刷工程の現場からの要請もあって、今主流であるものを順次取り入れていったというのが正直なところ。

 

 極論ですが、デジタルかアナログかというのは単なる保存方法のこと。保存方法が異なるのだからプロセスも異なるってのは道理。暗室でやっていた作業がコンピューター作業へと大きく形を変えた。これは音楽の世界でも同じ。写真や映像の世界よりも一足早く、変革とゆり戻しという事象が見て取れる。

当たり前のことだけど、人が創り人に向けて表現する。常に人との接点は、アナログ的な物質。写真もネガを見ればプリント後の姿がリアルに見える。陰影が物理的に刻まれているネガは、やはりとてもアナログ的な存在なんだと思う。

これは音であっても同様で、たとえばCDの盤面を眺めてもそこから音楽を感じることはできない。だけどレコードの黒い盤面に刻まれている溝の集合体には、あきらかに音の強弱などが密度や形からイメージできる。よく知っている曲のレコードを一度眺めてみてほしい。とてもリアルに音楽の形が見えるんじゃないかと思う。

そう考えるとDAコンバーターの様々な進化は、デジタルによって失われたなにかを取り戻そうとする行為かも。めっちゃ高価な機材を使っても、ある部分アナログレコードのそれに勝てないところがある。まったく質の悪い冗談のような話。写真も少し後追いで、同じようなことが進行しているように感じるなぁ。

 

まぁ、プロセスの話はいいとして、「人が創り人に向けて」ということだから、プロセスや保存方法が変わろうと基本的にまったく変わらないもの(価値観)がある。「誰が誰に向けて何のためにどう表現しているか」僕はこれをどのように構築するかに尽きると考えている。

 

 撮影者としてのキャリアも、そろそろ後期に突入だ。成功も失敗も山ほど体験し、あ、いや失敗に関してはリカバリーをしてきたからとりあえず今消えてないということなんだけど・・・

つまりね、これまでやってこれた様々を、いろいろな形で残し伝達して行きたいと思い始めているんだなぁ〜。

 

本サイトもリニューアルして、ガキのころに撮った、まだまだへたくそな写真をどんどん見せていこうと思う。技術的に未熟でも、なにかキラりと光るものがあるのだろうか? 自分でデジタル化しながら、若いなぁ〜と少し気恥ずかしい。だけどきっとその中に面白さと、ちっとは役に立つ何かが見つけられるかもしれない。と、そんなことを考えている今日この頃なんです。ま、撮影者晩年への終活だね。絶対くる終わりに向けて、どう生きるか腹が決まってきた感じ。

 

 

 


 

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