写真・映像制作者 水谷充の私的視線

〜「見てきたもの」記録装置 カメラがくれた宝物 〜
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写真三昧


「8×10カメラな仲間たち」 最終日、終了1時間前に滑り込みセーフ。
いや〜ある意味凄い写真展だったよ。
元麻布ギャラリーの広いスペースに、8×10の大判カメラ(中には11×14も!)で撮影された作品がずらり。プロ・アマの境界線はなく、8×10愛好家という共通項で集っているようだ。

Printも、バライタ、プラチナ。果てはガラス(湿版?)と、質の高いPrint多数。
この展覧会を知るきっかけになった谷雄治氏は、なんと11×14の手持ち撮影に挑んでいる。
現像も自家処理とのことで、もう僕のような職業写真屋には、手の出せない領域に踏み込んでいる。(汗)


出展者の一人 達川清氏に会えた。

達川さん(右から二番目)は、僕がスタジオマンだった時代よく撮影にいらしてくれた方。資生堂のお仕事で、大竹しのぶさんを撮った時など、お手伝いをさせていただいた。
1981年頃の話だ。なつかし〜
お話してみたら、覚えておられた。「カサトレ、リングライトでしたね〜」なんて、当時の話を。

僕の一回り上の世代は、エネルギッシュな方がとても多い。
広告写真で活躍していた方が、ちゃんと時を経て、”自分の写真”に取り組んでいる。見習うべき点が多い。

それにしても、面白い写真集団だね。
会場にいた作家さんたち、みなさん本当に楽しそうだし、写真三昧の日々という面持ち。


素敵な図録も作られている。

作家自身が声を上げて発信している。
世情が不安定な時期には、こうした自主的活動が活発になる。
自ら創作する人は、本当に逆境に強い。
素晴らしいね!


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| Exhibition | 19:27 | comments(4) | - |
信頼感


 写真家・渡部さとる氏が主宰する「ワークショップ2B」
今、29、30期のグループ展が、渋谷のGallery LE DECOで開催中だ。

設営の日にチラッとお邪魔して、昨晩は渡部さとる氏による講評が行われるということで、様子を拝見しに行ってきた。
 


ワークショップOBも駆けつけ、大盛況。


 講評は、とてもわかりやすい語り口で、要点がスッと入ってくる。
出展者のみならず、居合わせたすべての人が熱心に聞き入っていた。



 レベル云々は、言うつもりはない。だけど、とにかく楽しめるグループ展だなぁ〜と。
人それぞれ、いろいろなスタンスで写真と向き合っている。ともかくそれがビシビシと伝わってきて、気分が良い。

 写真は、基本孤独な行いなのだが、あるプロセスや結果を仲間と共有できる楽しさは格別だ。永く写真と付き合って行くには、仲間の存在はとても大切だ。ここに来るとそのことがとてもよくわかる。押しつけがましくないアドバイスをしてくれるOBや、今回の出展者にいろいろ質問するワークショップ進行中の後輩。
行き交う人間関係に、とても温かいものを感じたね。

 積み重ねた時間。共有する価値観。突き抜けたとき祝福で包んでくれる仲間。
信頼関係が丁寧に積み上げられているんだろう。ほっといたら何時間でも写真の話に没頭していそうな大勢が、とても良いエネルギーをくれた。

 写真への歩みを、確実なものにしていきたいなら、こうしたワークショップに参加してみるのが一番手っ取り早いんじゃないか。
「経験を出来るだけ具体的に数値化して伝えるように務めている」これは、渡部さとる氏の言葉。思想・哲学は各自が生み出せばよい。どこかのタイミングで、手段をちゃんと学んでおくのは大事な事だ。基本があってこそ、それをぶち壊して突き抜けて行ける。

 僕自身、修業時代の7年間が、すべての起点になっているように思う。
経験の良否を判断するにも、基準になるものがないとね。
現実と向き合って、ものを創る人が、かくも力強く美しいものだと、集う彼らから教わった気がするなぁ〜。
つくづく人生は、どんな仲間とやっていくかだね。


※この写真展は、本日、日曜日が最終日。渋谷近辺にお出かけの方は、ぜひ覗いてみてください。
Gallery LE DECO→AccessMap

※現在、34期、募集中だそうです。→こちら


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| Exhibition | 04:04 | comments(0) | - |
残すべき意味、撮るべき意義


 GALLERY 21の太田菜穂子氏が提唱するアートプロジェクト
「Forest among us」が始動した。
僕もCollaboratorとして、このプロジェクトに参加します。

プロジェクトの核は、4人の写真家が撮り下ろす”東京の森”
皇居の森:土田ヒロミ
神宮の森:広川泰士
上野の森:鈴木理策
目白の森:M.HASUI

僕は、「写真芸術の現場」制作者として関わっていきます。
それぞれの撮影現場や肉声を記録し、配信していく予定です。

以下は、プロジェクト公式サイトに掲載していただいた僕のStatementです。

 「東京の森」と聞いたとき、僕は乱立したビル街の光景を思い浮かべた。神宮や皇居や上野を『森』という認識で見ていなかったんだ なぁ。家から近い明治神宮を改めて歩いてみた。確かにここは「東京の森」だ。緑に囲まれた中へ進んでいくと、幾分かひんやりと涼しい。雨上がりで湿った地 面からは、フワッと独特の匂いが立ち、なんだか懐かしい気分になる。柔らかな踏み心地は歩く膝にも優しい。都会を覆い尽くしたアスファルトが、いかに暴力 的かと思い知らされる。

このプロジェクトは、都会に住む人には再認識を促す。また、東京を知らない人には、今までと少し違った魅力を提案してくれる。しかもその手法をアートに求めたところが素晴らしい。撮る理由、残す理由を、「公共」という意識の方向で見ているのかもしれない。

太田菜穂子氏が指名した4人の写真家は、それぞれどの様に命題を消化し、写しとっていくのだろう。何かワクワクする気分を持って、そのプロセスを見ていこうと思う。


残すべき意味、撮るべき意義
そういったものを丁寧に構築し、それに基づいて写真を作ってゆく。
作品制作に一人立ち向かう写真家が、通常踏むプロセスとは少々異なった流れで、作品を生み出していく。
しかし、GALLERYと作家の関係に於いて、特に絵画や彫刻ではしばしば行われる手法。特別変わったことをやろうってわけじゃない。
ただ、プロジェクトそのものの推移を、定期的に発信し、生み出される作品のみならず、プロジェクト全体に意義を持たせてしまおうという試みは素晴らしい。

これから、ほぼ1年を一つの単位として進めていくようだ。
動き出した先に、どんな結末が待っていようと、僕の出来る精一杯で記録・配信していこうと思う。

随時、こちらでも情報発信をしていきますが、まずは公式サイトにぜひ目を通してください。

Forest among us 公式サイト
http://forest-among-us.com/


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| ART | 23:51 | comments(0) | - |
TOKYO PHOTO 2010閉幕
 

 六本木ヒルズ森タワー40階 アカデミーヒルズ40に会場を移して開催されたTOKYO PHOTO。
連日、沢山の人出。凄かったね〜
きっと、森タワーからの眺めも量産されたことでしょう。

高いところから下を見ていると、偉そうな気分になるか、自分のちっぽけさに気がつくか、二通りだそうだ。喫煙コーナーで誰かがそんなことを話していたね。面白い。
僕は脳天気くんなので、すぐに偉そうな気分。

いや〜それにしても新宿って、あんなにも高層ビルだらけになっちまったんだね。
僕は、1本目、京王プラザホテルが竣工した時を、今でも昨日のことのように覚えているよ。あ〜古い人間かも。

 しかし、地上から40階の会場には、嫌がらせか! と思えるほどわかりにくいアクセス。わざとあんな作りなんだろうね。でなければ納得がいかないよ。
広場にプラカード持った女の子を数カ所立たせていたけれど・・・・そんなことを21世紀の今になってもやらなければいけないなんて!
災害がおこったら、生存確立が著しく低そうな高層ビルだね。当然、その辺りは、搬入出のやりにくさにも現れていたように思う。
会場の広さはともかく、昨年の場所の方が、天井の高さから来るリッチな気分も含めて、僕は好きでしたね。会場の照明も、作品鑑賞向きではない、ペラっとした蛍光灯による均一な明かり。
窓の景色が、まぁ、一つの救いだったような気がします。

 しかし内容は、素晴らしかった!
評価の確立した有名作家のVintage Printばかりが売れていたのは、仕方のないところかもしれないけれど、アジアにおけるアート写真の見本市を自認するならば、もっとココ発の新人で押し通して欲しい気もする。
プライマリー・ギャラリーが、新人を市場へ流していくような仕組みを育てていかないと、未来のセカンダリー市場が育たないんじゃないか。
「出展料が幾らかも知らない、おまえが言うな」ってことかもしれないが、なんとなくそんなことを悶々と感じていたのは事実。
逆に、ジョエル・ピーター・ウィトキンのPrintが見れたのはウキウキ。
「これ、Vintage Printですか?」と聞いても「は?」という応対の人しかいなかったのが寂しかったけれど、単に僕の間が悪かったのだと思いたい。

 ともかく総じて素晴らしい催しだったことは、間違いない。
とっても楽しめた数日間だった。
主催者、及び運営に関わる方々に、感謝を申し上げたいと思います。
ぜひぜひ、続けていってください。来年も楽しみにしています。


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| Exhibition | 00:51 | comments(0) | - |
TOKYO PHOTO 2010 開幕


 いよいよ本日17日から、TOKYO PHOTO 2010が開幕する。
昨日は、その設営と内覧会とレセプション。
僕も午前中から会場をウロウロ。
出展GALLERYの多さは、目眩がするほどです。ホントに凄い。




GALLERY 21 
太田菜穂子氏がスタートを切った、アートプロジェクトとのコラボが決まった。そんなご縁で、ブース準備中にお邪魔しました。
「リビングの壁がこんなだったら楽しい」そんな印象の展示です。


会期中、GALLERY 21では、取り扱い作家さん達が、ギャラリー・トークを予定している。

本日、17日(金) 13時30分〜所幸則氏
           16時〜菅原一剛氏

18日(土) 13時30分〜岡原功祐氏
       16時〜アートプロジェクト「Forest among us」Presentation

19日(日) 13時30分〜志鎌猛氏
       16時〜M.HASUI氏

20日(月) 13時30分〜アートプロジェクト「Forest among us」Presentation
       16時〜広川泰士氏



Libro Arte

フォトサミでもお馴染みの、大和田良氏、大串祥子氏、Keiko Kurita氏の作品はこちらです。



内覧会には、各GALLERYのお客様や、プレス、業界関係者が続々と訪れた。
アメリカのGALLERYも数多く参加しているこの見本市。
日本とは、また少々異なった個性を出している。比較してみるのも一興。



既存のメーカー系GALLERYとは、違った個性を持つRINGCUBE。
かなりのスペースを使って、Collectionをお披露目。



お馴染みの小澤太一氏と岡嶋和幸氏



レセプションは、立錐の余地なし。
多くの方が、高い関心を持って”アート写真の今”を見ているんだと思います。



HARUKI氏!
相変わらずラテンです。



写真をやっている方は、ぜひご覧になっておくべき見本市です。
「昨年と比較してどうなの?」とおっしゃる方もいましたが・・・・・・

これは、今、アート写真市場に何が起こっているかを知る手がかりのような催し。
昨年との比較は、まったく意味がありません。
評論家目線では、市場の流れは見えないと僕は思います。

僕自身は、写真作家としてここに出展しているわけではありません。ある一メディアとしての参加です。やっていることの必然性に十分プライドを持っているのだけど、やはりあっち側への意志もあります。だから、なおさら見届けないといけません。

凄い量の写真。
しかも、各GALLERYが、良いと判断している写真が並んでいます。
心を空にして、ともかくご覧になることをお勧めします。
時間に余裕を持ってお出かけください。ゆっくり過ごすことが大事なんじゃないかと思います。

TOKYO PHOTO 2010公式サイト
http://tokyophoto.org/




※内緒だけど僕個人的には、女優・奥貫薫さんと会場で会えたのが一番嬉しかったよ〜
龍馬伝の武市半平太の奥さん役、最高でした。大好き!(笑)


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| Exhibition | 08:08 | comments(0) | - |
Shooting Theory 4
 

 スタジオは、集中力の持続には最高の環境だ。
なんせ、そこにいる間は、撮影のことだけを考えていていいのだから・・・。

『スタジオに入ったときから、撮影は始まっている』
ライティング機材にパワーが入ったなら、それ以降撤収まで施設の照明は消したままで進める。ポラを見ようと、蛍光灯をパチンとやった時点で、フッと気持ちが醒める時がある。
僕がそうであるなら、モデルはもっと醒めるのではないか? 顔が素に戻る気配を察知した経験があり、その時以降、集中力を切らさない為に、やれそうなことはどんどん取り入れていった。

 気持ちをある方向に誘導するためには音楽も重要で、ほぼ、David Barnの「THE FOREST」を流しながら撮影する。他にもいくつかあるのだけど、皆総じて暗く切ない響きのInstrumentalだ。
これは、別に暗い写真が作りたいってことではない。すべて集中力を高める環境作りということだ。自分自身はもちろんだけど、その場に居合わせるすべての人が、ある方を向くようにとの仕掛け。

 僕のライティングは、『作りたい絵柄に合いそうな光を先に作ってしまう』というやり方が多い。Locationに例えるなら、天気待ち、光待ち。夕方を作ったり、曇天を作ったり。光をすべて自分の好みでコントロールできる。やはり、これはスタジオ撮影の醍醐味。
少し具体的にお話ししよう。
まずスタジオのどこかに、適当に光を作っちゃう。柔らかくて大きい方向性の曖昧な光だったり、堅くシャープな点光源だったり。反射を多用するときもあれば、拡散を抑える時もある。
その光が、どんな絵を作ってくれるかが重要で、ライティングのパターンをなぞることは、ほぼしない。
適当に作っておいたら、後は衣裳とMake-upが仕上がってから。
適時、指示を出しながら立ち位置を変える。目で、光が描き出すものを確認しながら、”素敵”ポイントを見つけたら、カメラを手にとってシャッターを切り始める。

 ライティングを組み上げていく段階で、カメラを覗いたりすることはあまりしない。
カメラは、あくまでも切り取り、定着させるための道具。可能な限り、目視で光を作る。素敵な現実を作り上げることが最優先。

仕上がりの確認のため、ポラロイドも使う。けれど、ポラを見ながら、ライティングの修正という使い方はあまりない。
「こんな感じになるよ」と、どちらかというとモデルやスタッフとの情報共有が目的だ。

"I take a POLAROID fast."
"It waits a little."

ポラをめくっても表情を変えない。
"One more please."

またしても、表情を崩さず。

少しずつ立ち位置や向きを指示して、数カット。
5枚目くらいのポラをめくった時、今までとは一変して満面の笑み。

言語によるCommunicationが不自由な場合でも、いろんな工夫で全体をコントロール下に置く仕掛けを施す。英語すら、ほぼ話せないヨーロッパ系のモデルでも、こうした態度や仕草を使ってなんとかなる。意志を伝えるためにやれることはなんでもやる。

『カメラマンにとって、撮影現場はメインステージ』
モデルにとっても同じであって欲しい。そのために時間、空気、意志。それらをきっちりと合わせることで、共犯者(適切な言い方かは疑問だが)になっていく。
撮影は、写真を生み出すためのプロセスの一つなんだけど、撮影は、そのプロセスの中でもかなりのウエイトを占めている。
だとすれば、思いっきり芝居がかっててもいいんじゃないか。
恥ずかしげもなく、舞台での所作に浸りきったとき、ようやくちっとは満足できる作品になっていくように感じている。

自分の世界観で周りを巻き込んで行くのが楽しいし、満足できる作品に繋がっている。
それにはまず『世界観を持っていなければ何も始まらない』


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| A View of Photography | 10:11 | comments(0) | - |
Shooting Theory 3
 

 すでに出来上がっているものをトレースしていくのは、”楽”だ。
一から作り出すのは、”楽しい”。
同じ文字でも、「楽=楽しいではない」
悶々と悩み、失敗の痛手に耐え、それでもなにか新しいことを生み出そうと格闘する日々は、けっして楽じゃないけれど楽しい。

 僕の日々が、なんでこんなにも楽しいんだろうと考えてみた。
これ、けっこう簡単な道理。
それは、「新しいことに挑戦し続けている人たちと、日々をやっている」からだ。

 太陽は、いつも同じ方向から同じ奴が昇ってくる。だけど、その光景を見る自分は、毎日新しい自分。まぁ、小さくても昨日に比べると一日分進化しているからね。進化している自分だから、Routineの中からだって新しい何かを見つけ出せる。
進化し続ける自分が、「お、いいね」と感じたものを撮っていくようなイメージ。
自分自身が進み続けていないことには、撮るべき価値に気づくこともない。
まずは、「日々夢を見ること」だね。


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| A View of Photography | 02:37 | comments(0) | - |
Shooting Theory 2
 カメラマンとして独立した当初、ずっと望んでいたレコードジャケットの仕事が運良くとても多かった。
僕自身が音楽好きで、レコードも数多く所有している。コレクターなどのレコード所有者は、そのものをとても大切にするという気質をよく知っている。
「末永く手元に置いて大切にして欲しい」漠然とそんな思いを持って仕事をしていた。

 新人カメラマンのスタートとして、Interview物は、比較的とりやすい仕事。雑誌やメーカーのPR誌など、多くの媒体にInterview物は数多く掲載されている。
当然、取材される人は有名人であったり、何か大きな事を成し遂げた人であったり、特殊技能や希少性を持った人であったり。つまり、取材をされるだけの価値を有した人ということになる。
好奇心旺盛な僕としては、本当に楽しくこれらの仕事をこなしていた。
 自分にとっては、有名人から面白い話が聞けて、しかもギャランティまで貰える美味しい仕事だ。
ある日、フト考えた・・・。「きっと取材される人にとっては、数ある取材の一つに過ぎないんだろうなぁ〜」と。
その人が、僕と会った事の意味は?
図々しいんだけど、そうした考えが、特に事前準備を丁寧にやる傾向に拍車を掛けたんだと思う。
少なくとも、「何か気の利いた質問の一つでもしてやろう」と、そんなことを目論んで現場に向かうように変わってきた。
音楽関係者ならば比較的自分の範疇だから、たいそうな苦労はない。技術、学術部門の人なんかだと、あまり勉強もせず、本も読まずに人生をやってきた自分にとっては、事前準備もかなりの労力。

 その様に心がけることは、撮影現場の空気を一変させる効果があった。まず、話が理解できるって事が大きい。いわゆる話の展開から、撮り時ってやつが見えてくる。
本人にとっての核心に近づくと、表情に生気がみなぎってくるものだ。無駄なシャッターは減り、話を聞くときは聞く。疑問に思ったら遠慮なく口を挟む。理解できたときは、理解できたという態度を明解に伝える。関連したところで何かアイデアが浮かんだときは、やはり図々しく提案などもしてみる。
そんな風にInterviewの現場を進めていくと、取材される人は、Writerさんだけでなく、僕という存在も、話を伝えるべき相手という認識で見始める。

『関係の変化は、写真にも大きく影響を及ぼす』
難しい話じゃない。道理だ。

Interviewをきっかけに、人と関係が深まり、そして継続し・・・。明らかに人生模様まで変化してきた。
写真は、眼に見える物しか写らないけれど、眼に見える物しか写らないなら、その場をどんな空気で満たしておくのかが肝心だ。アプローチの仕方によって、眼に見える部分にも大きな変化が現れてくる。

『相手も自分に対して好奇心を抱いてくれること』
良好な関係。心から笑える状況。通りすがりの人にはけして見せない本音の語らい。
その様な場が出来たなら、良い写真を作ることにさしたる苦労はない。

『相手にとって、自分とは何か』
撮影は、Communication。だとすれば、これもしっかりと考えて臨みたいと考えている。


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| A View of Photography | 13:45 | comments(0) | - |
Shooting Theory 1


 Shooting Theory 1

フォトサミ7のPresentationで、伝えきれなかった僕自身の撮影論理(流儀)をここでお話ししていこうと思います。
僕の場合、行動する動機の多くは好奇心です。当然、写真ってものが、その伴侶として傍らにあるということ。
「写真芸術の現場」を作るようになって、様々な写真家と話をする機会も多くなってきた。それは、相手を知ると同時に、自分を知ることに繋がっている。
よく、こんな問いかけをする。「あなたにとって写真ってなんですか?」
僕自身が答えるなら・・・
『記憶を補強し、その断片を人に見せる為の手段です』
とこんな感じの答えになりそうだ。
つまり、写真を”目的”とは思っていないということ。常に写されている中味。それは人物だったり、シーンだったり様々だけど、写真に写されているそのものと、それに僕が反応したという事実が大事。写真にして人に見せている時点で、僕の琴線に触れる何かだったということ。
『ある事象と自分の感情』
重要なのはこれであって、写真はそれを見極め、止める手段(それもかなり使い勝手の良い手段)に過ぎないということ。
これには仕事かプライベートかなどの区別はない。より正確に言うなら「区別ないよう心がけている」って感じだろうか。

 仕事の場合、自分の興味となんら関わりのないところから突然撮らなければならないテーマがやってくる。そうした場合でも、その提示されたテーマ(モチーフ)と向き合って、自分自身の好奇心が疼くポイントを探すところからスタートする。まったく知らなかった分野なら、様々な手段を使ってアウトラインだけでも調べだしてみるのだ。
「ほほぉ〜、なるほど!」な気分が沸き上がってくれば、まずは、それで十分。
そんな心の状態になったとき、自分の中に撮影の動機が芽生えたと判断できる。もう少し具体的に言うと、撮影が待ち遠しくなるということだ。
そうした事前準備は、結果的に自分の知識や枠を広げてくれし、撮影現場でも大いに重宝する。
『何をどの様に撮るべきか』
この判断には、テーマに対するある程度の知識は不可欠だと考えている。

 80年代後半〜90年代前半にかけて、ファッションの分野でけっこう撮影をしてきたのだが、当然そのころは、ファッション漬けの日々。デザイナーズ・ブランドが隆盛を極め、街もメディアも、その華やかな様子に浮かれていた。パリ、ミラノ、ニューヨークに負けず劣らず、多くのファッション・デザイナーが参加する東京コレクションは、凄いことになっていた。
当然、会期中は、ほぼすべてのコレクションを見て過ごした。日程的に難しい場合でも、後日プレスルームを訪れ、新作に目を通していた。次に来る色や、素材。ラインやシルエット。
自分自身が、服に対してどんな感情を持つかが、ファッションを撮る上でとても重要なことだった。

『自分の好奇心を明らかにする』
まずは、此に尽きる。

今日は、この辺で。

しばらくこのテーマを続けます。


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| A View of Photography | 03:26 | comments(0) | - |
次、行ってみよ〜
 

フォトグラファーズ・サミット 7 が終わって、10日が経過した。ようやく諸々の事後処理が一段落。
昨晩は、反省会ってことで、実行部の面々が集まり、総括。改善すべき点を洗い出し、その対応策を協議する。何か、事を動かせば結果に対する総括は必須。
常に次を見据えて行動しているなら、必ず不満点も見えてくる。”すべてが完璧、パーフェクト!”なんてことは、向上心を持った人間には永遠に訪れない。

 フォトサミの入場者は、若干ながら前回を上回った。やはりこれは凄いことだ。関心を持って見てくれる企業も多く、続けていく自信が芽生える。
お越し頂く方々の入場料と企業の協賛は、本当にありがたいし、それがなければこのような規模のイベントは成立しない。
巨大スクリーン+高画質プロジェクターのレンタルも、数十万。箱代に至っては・・・・O-EASTのような大箱は、それなりの金額ということ。
大勢で、スクリーンに投影される写真を一緒に見るということから生まれるエネルギーは、写真の可能性を広げてくれるものと、関わっている一同、皆確信している。

 主宰・山田敦士氏を始めとする、実行部一同、”これからも可能な限り長く続けていこう”と共通の認識で大いに議論の反省会だった。
来年春、フォトサミ8開催実現に向けてもう今から準備を少しずつ、です。


来週は、いよいよTOKYO PHOTO 2010
参加GALLERYも増え、去年と違う会場での開催です。間違いないよう、公式サイトをチェックしていただきたい。

TOKYO PHOTO 2010公式サイト
http://tokyophoto.org/

僕は、GALLERY21が進めていくプロジェクトに関わっていくことになった。
正式発表は、16日の予定。しばし、待ってね。
新しいアプローチで、アートフォトを推し進めるプロジェクトです。未知の部分も多いけれど、僕自身ワクワクした気分で関わっていこうと思う。


 それにしても、おとといの台風がやっと秋を連れてきてくれたっぽいね。
今日も、けっこう涼しくて過ごしやすい。頭も回り、食欲も増す。文化・芸術にはやはり秋が似合う。久々の雨も、植物には恵み。
 
薬指ほどの大きな芋虫。
突っついたら、身を堅くして死んだふりしてた〜可愛い。
よくよく観察してみると、アンテナの様な突起があるのは後ろ側だった。今までずっと、こっちが前だと思ってたよ。
目白の森にも、いろんな命が息づいている。素敵だ!


さて、次、行ってみよ〜♪

JUGEMテーマ:写真
  



| Exhibition | 11:24 | comments(0) | - |
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