写真・映像制作者 水谷充の私的視線

〜「見てきたもの」記録装置 カメラがくれた宝物 〜
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「そこに、その人がいる」という感覚
 「裸って何?」現代日本写真家のヌードフォト 2015
二日目を終えました。
連日、途切れることなく多くの方が観に訪れてくれて、ホント嬉しいことです。ありがとうございます。入場者数、凄いです。そしてみなさん滞在時間が本当に長い。しっかり観てくれているのがひしひしと伝わってくる。作品は、本当に多様。作家それぞれの解釈で、様々に表現されています。楽しい!
出展作家の一人として、ここに居合わせることが出来たこと、心から嬉しく思います。

僕の出展作品に関する解説文を記します。
「BORDER」水谷充
 人も裸で生まれてくる。やがて社会の枠組みに加わり、被服が常態化する。これは、人が他の生物と決定的に違うところだ。被服は、身体を覆うといった単純な機能だけではなく、他にも多くの意味を持っている。たとえば階級や職種など社会的立場を表し、また気候風土など環 境からくる地域性や国・人種・宗教など文化の違いを表したりもする。時代によっても、その形は様々に変化してきた。大衆の関心の中心にある「流行」をもっとも端的に表しているのも被服だ。人間文化の象徴といってもいいだろう。  

 社会という集団生活の場では、被服が常識であり、裸は、非常識とされている。社会の在り様としてルールができるのは、必要必然なことで、そこに異を唱える気はない。むしろ規制があるからこそ「裸」はジャンルになった。「裸」を特別なものに仕立て上げたのは、まさに規制そのものだ。
そして「裸」をタブー視する社会の風潮は、生物としての本分、つまり繁殖をある意味、否定している。突き詰めれば自らの出現を否定することでもある。そうした人間の不安定さは愛おしい。規制がもたらす矛盾は、思考の発露でもある。表現に携わる者として、そこに敷かれた境界線は、自らの立ち位置を探る指標ともいえる。

 私自身、これまでに様々な場面で裸をモチーフとして取り上げてきた。境界線のあちら側に少し踏み出せばお金が儲かる。行過ぎれば、逮捕される。きわめて 当たり前のことだ。そうした際をフラフラと浮遊する生き方は、愉快だ。
 今回出品した作品「BORDER」は、ふたつの意味を込めて制作した。ひとつは、ペイントを着る試み。顔料でペイントされたBORDERが、必要最小限 ある部分を覆っている。これは、被服なのか、やはり裸なのか。事実として乳首も局部も、地肌ではない。顔料のベールが薄く地肌を覆っているのだ。これは、 許されはずだ。もしこれが、SNSなどで削除の対象になるとすれば、布帛やニットと顔料のなにが違うのだと問いたい。そしてもうひとつは、規制という境界線が生み出してくれた「裸」という領域への敬意。僕は、これからもこうした社会の在り様を歓迎し、表現する者として、時代の際を歩いていくことだろう。
 「人間とはなにか?」を考えるとき、生物界唯一の特徴を無視する意味はない。被服と裸、それは分けることのできない表裏なのだ。

30日(日)まで、ギャラリー新宿座。
最終日も20時までご覧いただけます。
本当にありえない顔合わせのグループ展です。
見逃さないでください。
http://shinjukuza.jp/project/hadaka/

裸? 着衣?
いや、どっちでもいいんです。
僕は人を撮っている。
そこに、その人がいる。
それが僕にとってもっとも大事なこと。
観ていただければわかります。

そして、そのエッセンスをお伝えしたくてまたひとつ新しい講座を開講します。
「水谷充のポートレート基礎レッスン」
日本写真学院
9/22(祝・火)13時~16時
座学と実習。
モデルを使って、人物撮影の実践トレーニングです。

半日、集中して実践的ノウハウを体験してください。
http://www.jcop.jp/course/products/detail.php?product_id=340






| A View of Photography | 02:20 | comments(0) | - |
人を撮るということ。
 

 「裸って何?」展の準備は着々と進行中です。
展覧会のタイトルに向けて、僕自身の立ち位置を提示するといった内容の作品を持ち込みます。ぜひお越しいただき、ご覧になっていただきたいと思います。

出展者の顔ぶれを今一度。
大坂寛、金澤正人、菅野秀明、憬、小林伸幸、小山敦也、今道子、白鳥慎太郎、杉浦則夫、鈴木英雄、高井哲朗、谷アツシ、東京るまん℃、中村趫、中村成一、永嶋勝美、ハヤシアキヒロ、舞山秀一、水谷充、宮川繭子、村田兼一、善本喜一郎(50音順・敬称略)

広告写真界の重鎮、アート作家として独自の地位を築く人、SM写真の大御所、ビューティーの第一人者、ノリに乗った中堅実力派、独自の世界観を提示する若手。などなど
同じところで一緒に展示するってのが、なかなかありえない顔合わせです。そこがとても楽しみであり、エキサイティング!

ギャラリー新宿座の地図がコチラに。
http://shinjukuza.jp/gallery-info/


僕自身の個人的な思いとして、スタジオマンやら助手時代に、すでに第一線で活躍されている方々と一緒に、このような場にいれるということは誇りです。頑張ってきたし、頑張り続けている証だと自分を褒めたいと思います。

しみじみ写真って素晴らしいね。


そして、『水谷ゼミ』
10月16日スタートの回、募集が始まっています。
http://www.jcop.jp/course/products/detail.php?product_id=129

写真は人とつながるコミュニケーションのひとつ。その典型的な形としてポートレートがあります。本ゼミナールでは、ポートレートを徹底的に研究し、理解を 深めるところから始めます。さらに撮影技術の向上を目的に、さまざまな課題を考察します。被写体とのコミュニ ケーションはとても大切な部分。「何を伝えたらいいの?」「どのような指示をしたらいい?」など、被写体とのコミュニケーションに漠然とした苦手意識を持 つ方もいらっしゃいます。疑問点を洗い出し、問題点の解決を図ります。さらに展示やポートフォリオ制作など、作品としてまとめるために必要なスキルを磨き ます。「モチーフ」「テーマ」「ターゲット」と具体的な命題を明らかにして、組写真の制作に取り組みます。出来上がる写真が役割を持って、ひとり歩きを始 めることが最終目標です。

ポートレートの楽しさは、被写体との共同作業という部分が大きいです。その楽しさや喜びは、作品を通じて被写体の先にいる家族や友人へと伝わっていきま す。まさにそれは人を撮る醍醐味。社会が人と人との関わり合いによって成り立っていることを端的に実感できるポートレート。撮影し、発表するということ は、そうした広がりの中心に自分を置くということなのです。ぜひ人を撮る楽しさを体感してほしいと思います。

人を撮るということは、自分だけの都合で出来ることではないし、してはいけないことです。
「一緒に創る」という感覚をしっかり身につけて、被写体と自分との間に信頼関係を築いていくこと。そんなことを叩き込む授業です。
目に見える形以上の、関係性を写しこむ努力。それが僕の考える人物撮影です。

ぜひ、ご一緒に!

| Exhibition | 18:46 | comments(0) | - |
「裸って何?」展のお知らせ
 

「裸って何?」という大変チャーミングなタイトルのグループ展にお誘いいただきました。
ディレクションは、飯沢耕太郎氏。そして出展作家の顔ぶれが面白い!アート、広告、エディトリアルなどなど・・・様々な分野で活躍している写真家。いずれも意欲的に裸をテーマに作品制作をしている方々。
ということで、とってもエキサイティングな展示になるんじゃないかとワクワクしています。

僕の在廊スケジュールは、会期が近づいてきたらお知らせします。
今回、この展示のための撮り下ろしで参加します。
ネット上には、掲載しない予定なので、ぜひ会場にお越しください。図録もぜひ入手されることをお勧めします。 

ホント、楽しみ!

*************************************************
『裸って何? 現代日本写真家のヌードフォト2015』

◆会期
2015年8月25日(火)〜30日(日)
12:00〜20:00

◆会場
ギャラリー新宿座
http://shinjukuza.jp/project/hadaka/
東京都新宿区新宿4-4-15
JR新宿駅「東南口」「南口」より徒歩5分
Tel 03-3356-8668

◆入場料
¥1,000(図録が付くとのこと)

◆入場について
個人によっては好まない表現があります事、ご理解の上でご鑑賞ください。
15歳未満の方は、保護者同伴の上、ご入場ください。

◆出展作家
大坂寛、金澤正人、菅野秀明、憬、小林伸幸、小山敦也、今道子、白鳥慎太郎、杉浦則夫、鈴木英雄、高井哲朗、谷アツシ、東京るまん℃、中村趫、中村成一、永嶋勝美、ハヤシアキヒロ、舞山秀一、水谷充、宮川繭子、村田兼一、善本喜一郎(50音順)

◆概要
裸は悪なのか?
本展は、写真によるヌード作品を制作している日本の現代写真家たちの横断的な展示です。
それぞれの作家の視点から制作された裸体表現から、現代の文化・社会の状況を考察していきます。
ネット社会が成立してから以降、あらゆる裸がモニターの中にこれでもかと溢れています。
可愛らしいもの、美しいもの、内蔵まで見えるようなグロテスクなもの、極限までのエロティシズムの追求、美しいフォルムへのこだわりetc.
猥褻とか芸術だとかいう、画一的なカテゴライズが全く意味をなさない状況を呈しています。
ネットの中の裸の露出が過剰であるがゆえに、いつの間にかあたり前の裸体表現にさえ自己規制が働くようになってしまいました。
実際に、昨年の愛知県美術館での「これからの写真」展における鷹野隆大「おれと」の展示に対して、官憲が介入するという事態も起こってきています。
そんな中で、本展では、あらためてジャンルを超えた写真家たちの作品で、裸体表現の意味を問い直します。
裸は電脳の中に閉じこめられ、日常から消えようとしているのでしょうか?
人間の裸の表現は果たして悪なのでしょうか? もう一度写真の中の裸に、しっかりと向き合いたいと考えています。    飯沢耕太郎(写真評論家)

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裸、いいね。
生物としての人間そのもの。
僕は、大好き。
自分も、どっちかというと裸族だし、、、(謎)



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